本と珈琲。

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【氷菓】「古典部シリーズ」に魅了されて~米澤穂信の緻密な世界観が素晴らしい~

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独特の青春小説として知られる米澤穂信の「古典部シリーズ」。その魅力に取り憑かれ、ついに私も手に入れてしまいました。

まず驚いたのは、作者の緻密な筆力です。繊細な描写が並ぶ一方で、ストーリーに起きた些細な変化や心理に至るまで、最小単位で細かく描写されているため、どのページを開いても飽きることがありません。

 

そして同じく細かい目配りをされているのが登場人物たちです。主人公である千反田えるが、日常の中でも何度も何度も何度も大切な場面や物事をよく観察して、そこから自分の「好きなもの」や「この先の夢」を見つける姿が印象的でした。

 

また、古典部メンバーのシャープな会話も魅力的で、自分たちの「独自の言葉」を使ったり、誰かが引き出しに隠していた「あの本」を読んでの感想を言い合います。

 

そんな中にちりばめられた穏やかで心地よい空気感に包まれている本書。アニメ版も先に観ていたため、その美しいアニメーションも頭の中で見ながら読めたことが、より一層物語に入り込めるようになったかもしれません。

 

ただ、個人的にはもう少しストーリーが進展する展開もあっても良かったのかなと思ったところもあるので、次の巻ではどのような展開が待ち受けているのか、さらに楽しみです。

 

人生の一瞬一瞬が儚いように過ぎていくような、青春らしい刹那感があるため、何度でも読み返したくなる作品となっています。

 

今回、古典部シリーズの世界に足を踏み入れて、素晴らしい体験ができました。次巻も期待しているので、早く手に入れたいです。